5 附 属 教 育 研 究 施 設

電気生理部門

【過去5年間の実績等】
1. 部門の特色等
 当部門は生体機能を電気生理学的手法を用いて研究するための測定装置と場所とを提供している。 部門内は大きく分けて生理学的実験室、 機械工作室と暗室から構成されている。 生理学的実験室は動物実験用とヒトを対象とした実験用場所に区分している。 動物実験用部屋は in vivo 実験用と in vitro 実験用とにさらに区分けしているが、 動物実験用スペースに限りがあり、 また実験の性質上多くの測定機器類がスペースを占拠するため、 利用者間での調整を必要とする現状である。 その対策の一つとして最初人工気象室として設置された部屋をその維持費用並びに利用人数の観点から実験用部屋に改変した。 機械工作室において開設当初に設備された工作加工機械類 (万能工作機械、 穿孔機、 研磨機, 帯鋸機械、 ホール盤、 フライス盤、 糸鋸機械、 切断機など) を用いて利用者自身が実験用の器具類などを作成している。 しかしいずれの機械類も老朽化が進み、 使い勝手が悪く、 早急な対策が必要である。 暗室は主に分子生物学的研究で用いるフィルム現像に用いている。
2. 機器設備の整備状況
 当部門に設置されている主な大型機器設備としては 「多次元情報実時間処理装置」、 「静止像用サーモグラフィー」、 「リアルタイムサーモグラフィー」 などである。
年 度 機      器      名
H7年度 1. 除振台 (ニューポート社・VW3036−03)
2. 病態モデル動物機能測定システム (米国データサイエンス社・DATAQUESTIVの一式)
3. 脳切片作成装置 (米国FHC社・OTS−3000)
H8年度 1. 3次元マイクロマニピュレーター (成茂・MX−1)
2. ガラス電極作成装置 (サッター社・P−97)
3. ハイスピードPZTポジショニングシステム (バーレイ社・LSS−3200)
H9年度 1. データ取得装置 (インターメディカル社・Digi Pack1200−1)
2. 微小電極増幅器 (日本光電・MEZ−8300)
3. PCMデータレコーダVTRデッキ付 (インストルテック社・VR−10B)
H10年度 1. ホールセルパッチピペット パーフュージョンキット (ALA社・2PK+)
2. デジタル多用途脳波計 (NEC・サイナフィット2500EE2514)
H11年度 1. マイクロフォージ (成茂・MF−900)
2. マイクロピペット・ベベラー (サッター社・BV−10)
3. ロックインアンプ (九州計測器・LI5640)

3. 利用実績 (利用講座・利用者数) (カッコ内は学生利用者数)
年   度 利用講座数 利用者延数
平成7年度 10 講 座 133人 (110人)
平成8年度 11 講 座 141人 (115人)
平成9年度 11 講 座 135人 (116人)
平成10年度 11 講 座 19人
平成11年度 12 講 座 20人

各年度初めに利用講座から実験計画書を、 そして年度末に実積報告書の提出を求めている。

H11年度研究実績
講 座 名 研  究  課  題  名
生理学第一講座 意識下自由行動ラットの心電図、 血圧、 腎臓交感神経活動及び視床下部単一ユニット活動のディジタル信号処理
薬理学講座 G蛋白質共役型受容体刺激によるイオンチャネル修飾作用の電気生理学的解析
内科学第一講座 交感神経終末からのノルアドレナリン遊離におよぼすPAMPの影響
整形外科学講座 整形外科領域における力学的解析
麻酔学講座 Nociceptin の視床下部室傍核ニューロンに及ぼす影響
脳神経外科学講座 ラット lateral hypothalamus に存在する神経細胞を電気生理学的特徴で分類する試み及び海馬CA3錐体細胞の脱分極性障害を人工的に生じた時のシナプス活動の特徴について
心理学講座 マウスキンドリング

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
 当部門の特殊性のため利用講座数は比較的限定されている。 しかし最近研究者人口が増加している in vitro 実験用のスペースの確保が重要である。 なお平成7-9年度、 生理学学生実習において 「サーモグラフィー」 を用いて 「体温調節」 に関する実習を当部門内で行った。 実験の利用機器は原則として各利用者が講座等から持ちこんだものを利用するようにしているが、 出来れば部門として基本的な測定機械を常備できるような方向に持ってゆきたい。 そうすればより研究者人口の増加も期待できる。 少しでも利用者の負担軽減策として、 年度末に利用者にアンケートを実施し、 共有できる希望機械類 (冷蔵庫、 脳スライス作成装置、 冷却装置や電極作成装置など) を選定し、 部門に備えた。 しかし、 予算に限りがあり、 購入希望をすべて満たしてはいない。 今後より広く多くの研究者が利用できるような設備、 スペース、 システムの構築がのぞまれる。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 現在の部門内の配置並びに機器類の見直しが必要となってくるであろう。 例えば、 現在は比較的利用が少ないが、 今後ヒトを対象とした基礎・臨床研究が重要視されてくるものと思われるので、 それに対応したスペースの確保が必要である。 また近年技術開発が目覚しい非侵襲的な生体機能測定機械の整備も必要である。 工作室に備えている機械類がいずれも老朽化し、 また操作が煩雑であるため早期に更新する必要がある。 定員削減との兼ね合いで非常にその実現は困難であるが、 実験用器具の作成には専門技術職員の配備が望まれる。 当部門のみならず実験実習機器センター全体としての組織の見直しの時期であり、 長期的視点で検討することが必要である。 単なる機器の管理のみならず積極的に研究支援・指導に深く関わるためには専門性を備えた教務・技術職員の増員と適切な配置が強く望まれる。

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