5 附 属 教 育 研 究 施 設

附属動物実験施設

【過去5年間の実績等】
1. 施設の特色等
(1) 教育の特色等
 再現性のある動物福祉を考慮した適正な動物実験が行われることを教育の目標にしている。 このため専任教官として助教授1名、 助手1名が配属されている。 学生教育は大学院1年生には実験動物学研究法特論の講義と実習を実施している。 学部学生に対しては従来生理学あるいは免疫学の授業の中で1回、 実験動物学の概要を講義してきたが、 平成11年度より2年次で動物実験学の授業を後期に行い、 動物実験の必要性と動物福祉との関係、 疾患モデル動物、 遺伝子操作動物、 人獣共通感染症など実験動物学全般について講義することになった。 学生以外の動物実験施設利用者の全てに対しては、 平成10年度より動物実験実施者には 「動物実験計画書」 の提出を義務づけ、 動物実験委員会が審査し、 承認している。 施設利用者は、 昭和61年以降 「利用者講習会」 を定期および臨時に開催し、 施設の具体的な利用法、 動物実験に関する指針の説明、 動物の保護及び管理に関する法律の解説、 人獣共通感染症などを含む講義を行い、 施設出入許可証を発行している。 動物実験を行っている研究者や実験協力者に対しては、 研究が順調に進行するように研究や使用動物に関する助言等は教官が、 動物飼育などに関する助言は施設技官が行っている。
2. 共同研究
 宮崎医科大学附属動物実験施設では、 新しい実験動物を開発する目的で現在、 約40種の野生ネズミ類を飼育維持しているが、 学内の利用者はもとより、 国内及び外国の研究者と文部省科学研究費補助金等を得てこれらのネズミを使った共同研究を行っている。 さらに、 外国産ネズミ類の採集調査などで中国、 台湾、 韓国、 ネパール、 ロシア、 スイスなどの研究者と共同研究を行い、 野生ネズミ類の捕獲導入、 あるいは、 飼育中のネズミ類の送付を行っている。

3. 地域との連携
 平成10年度より宮崎大学獣医学科の5年生に対し、 30時間の実験動物学を集中講義として行っている。 施設職員が蓄積している知識を地元の自然科学の講演会の講師などで還元している。 宮崎県内において有害獣として駆除されたニホンザルの受け入れ依頼により、 飼養許可証の発行を受けて適正な飼育を行っている。 宮崎県中部犬管理所が毎年2月に開催する 「動物慰霊祭」 に出席している。 宮崎県立博物館の自然科学部門が展示の更新を行ったとき、 鳥類および哺乳類の展示に協力した。 宮崎県生活環境部が企画し平成12年3月に発行された 「宮崎県版レッドデータブック、 宮崎県の保護上重要な野生生物」 において、 哺乳類の写真の提供及び原稿執筆を行い、 鳥類の写真を提供した。

4. 国際交流
 宮崎医科大学附属動物実験施設では、 新しい実験動物を開発する目的で現在、 約40種の野生ネズミ類を飼育維持しているが、 外国産ネズミ類の採集調査などで中国、 台湾、 韓国、 台湾、 ネパール、 ロシア、 スイスなどの研究者と共同研究を継続して行っている。

5. 外部資金の導入状況
資金名  平成7年度  平成8年度  平成9年度  平成10年度  平成11年度
科学研究費  1(分担者)  1(分担者) 2(※1)件 2(※1)件
200千円 200千円 2,100
 (※400)千円
1,900
 (※400)千円
奨学寄附金 1 件 1 件
100千円 323千円
文部省系統保存事業費 平成3年度より毎年  1件 2,500千円
※内分担者

6. 国内交流
 国立大学動物実験施設協議会のメンバーとして、 1998年から1999年に掛けて幹事校になり、 1999年5月14日に第25回総会を宮崎市宮崎観光ホテルにおいて主催し、 文部省学術国際局学術情報課長をはじめ全国立大学動物実験施設53施設から200名の職員が参加した。 本協議会総会では、 幹事校が総会の内容について総会前に数回協議し、 主要議題および協議事項の事前配布、 総会当日は重要案件の重点審議など 「宮崎医大方式」 ともいえる改革を実行した結果、 高い評価を受けた。

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
教官:
1. 学生教育:大学院生には講義とビデオで授業を行っているが、 基本的な手技については実際に動物を使った実習を行った方が良いと考えられる。 学部学生の授業も、 講義とビデオであるが、 実験動物学の基本は体系的に学習できるようになったが、 動物に対する基本的な手技や解剖などについては、 動物を使用した実習が行えるようにすべきと考える。

2. 利用者教育:利用者に対する講習会を、 年間定期的に3回、 臨時で数回行っている。 この利用者講習会の受講を義務づけたことにより、 利用者が動物福祉を考慮し、 不用意な動物実験を行わなくなった。
3. 技官教育:担当する動物の種類や、 作業内容が技官ごとにほぼ固定しているため、 担当動物に習熟しているので、 実験者の質問にも対応しやすい。 しかし、 担当者が不在の時に、 他の担当者が対応しにくい状況にある。

専任職員の数:教官2名と技官2名で動物実験施設の管理運営を行うことは不可能に近い。 現在は昨春定年退職した技官1名の定員が削減されたため、 非常勤の技能補助員として再雇用することでかろうじて現状を維持している。 現状はあまりにも仕事の量が多岐にわたっているため、 事務官1名、 技官2名の定員増加措置を必要とする。

施設の現状:動物実験施設が竣工してからすでに20年以上が経過し、 この間2度も震度5の地震に見舞われ、 施設外壁や飼育室の床に亀裂が入り、 水漏れが日常的に起こっている。 空調設備の老朽化も進み、 平成10年12月には、 空調給排気のダンパーが故障し、 実験動物が多数死亡する事故が発生した。 今後も同様な事故がいつ発生してもおかしくない状態が続いており、 早急に空調設備更新工事予算の措置により更新を行わなければならない。 同様なことは飼育機材についても、 老朽化がひどく、 飼育動物がいつ事故死してもおかしくない状況が続いており、 早急に更新する必要がある。 また、 遺伝子操作動物 (ノックアウト、 トランスジェニック等) の使用が急増してきており、 飼育室の再配分と専用の飼育機材を配備する必要がある。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 動物実験施設を、 単なる飼育サービス施設で研究もできるという現状だけでなく、 より積極的に研究施設とサービス機関として発展させる必要がある。 実験動物資源開発研究施設:宮崎医科大学附属動物実験施設を改組 (教授1名、 助手1名、 技官3名、 事務官1名) し、 研究・業務として実験動物学、 繁殖学の立場から遺伝子資源としても貴重な野生小型動物の、 新しい実験動物の開発・維持・供給および情報を公開するためにデータベースを構築し公開する。 希少動物種の人工繁殖。 遺伝子改変動物を含む実験動物の生殖細胞の凍結保存等を積極的に行う。 飼育管理業務として研究者が使用する一般動物、 清浄動物、 感染実験動物、 遺伝子組み替え動物など、 様々な実験動物を専門のスタッフが飼育管理できるようにする。 学生及び研究者に対して、 動物福祉を考慮した再現性のある動物実験が行えるように、 教育および実習を行う。

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