4 臨 床 医 学 講 座

小児科学講座

【過去5年間の実績等】
1. 講座の特色等
(1) 教育の特色等
 病棟実習および外来実習を中心に担当医、 主治医とともに実習していく。 病棟実習では実際に研修医とともに行動し、 実際の患児に起こっている問題点をあげ、 鑑別診断、 治療方針について議論し、 参加する。 外来実習では、 多彩な訴えを持つ患児とその家族より病歴を聴取し、 また診察することで外来主治医とともに医療方針の決定にも参加している。 また臨床の場ではひとつひとつの症例を十分に考察し、 文献検索をもとに検討し、 症例報告を行なうようにしている。 小児科の特色としては、 以下の点が挙げられ、 実習期間中に習得することを目標とする。
1) 成長・発達の年齢による傾向を理解する。
2) 遺伝要因、 胎内環境、 出生後環境の小児の健康や病気におよぼす重要性を理解する。
3) 小児が健康に育つための栄養の知識を獲得する。
4) 小児保健医療、 乳幼児健診のシステムを理解し、 ハイリスク児の評価法を理解する。
5) 小児の健康および病気の管理において身体面のみでなく、 家庭、 学校、 社会環境の重要性を理解する。
6) 小児の初期・救急医療の基本的な対処法を理解する。
(2) 研究の特色等
・血液・腫瘍;悪性腫瘍の細胞学的・分子遺伝学的研究、 悪性腫瘍の治療法の開発、 特に小児科領域での末梢血幹細胞移植の治療法としての確立。 (ヒト神経芽腫の増殖、 分化とアポト−シスの制御機構や平滑筋細胞への分化・成熟とその制御機構など、 神経芽腫を中心とした固形腫瘍の基礎的研究および診断マ−カ−の開発や遺伝子治療の研究。)

・先天異常・遺伝・新生児;先天異常、 奇形症候群の実験的研究 (抗けいれん剤による催奇形性の検討およびヒト胎盤モザイクと子宮内発育不全児の検討。)

・内分泌・代謝;小児内分泌疾患、 先天代謝異常に関する分子遺伝学的研究 (超高感度高ヒトグルタミン酸脱炭酸酵素 (GAD) 抗体測定法の開発と臨床応用。)

・神経;小児神経疾患の臨床的研究、 神経細胞由来の細胞株を用いた細胞学的・分子遺伝学的研究。

・循環器;抗悪性腫瘍薬剤を投与された患児の左室拡張能の臨床的研究、 先天性心疾患の循環動態の評価やカテーテルを用いた非観血的な治療の研究。

・腎臓;腎生検検体を用いた細胞学的・分子遺伝学的研究。
2. 共同研究
(1) 学内 (他の講座等)
:生化学教室、 RI センター、 組織培養センター等との共同研究が進行中。
3. 地域との連携
 宮崎市郡の学童・乳児健診、 予防接種を含めた小児一般の健康・福祉向上を目的とした地域との連携。 その他、 以下へ小児専門医として医師を派遣することにより小児福祉の向上および疾患をもつ小児の治療を行なっている。
 宮崎市、 都城市の夜間急病センタ−、 日南市の休日夜間診療
 宮崎県こども療育センタ−嘱託医、 ひまわり学園相談医
 在宅障害児相談委員・就学指導委員会委員

4. 外部資金の導入状況
資金名 平成7年度 平成8年度  平成9年度  平成10年度  平成11年度
科学研究費 3 件 3 件 4 件 2 件 1 件
 6,300千円  7,300千円  6,600千円  2,600千円  1,100千円
奨学寄附金 19 件 19 件 19 件 20 件 21 件
7,100千円 7,400千円 7,280千円 7,600千円 7,672千円
受託研究費 4 件 5 件 6 件 5 件 6 件
171千円 236千円 2,311千円 589千円 1,675千円

【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
 基礎研究、 臨床研究ともに限られた人数と資源で各自がそれぞれのテーマに取り組み、 その成果は高い評価を得ている。 課題は臨床と研究の両立をいかに効率よく、 また高いレベルで達成するかであると思われる。 また学会活動も国内、 国際を問わず幅広く、 講演、 シンポジウム、 一般講演など積極的に参加しなければならないと考えられる。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 システムとして学内の諸施設を自由に共有できるよう望まれる。 現在行なっている基礎的、 臨床的研究活動は今後も今の活動性を維持しつつ、 展開していく。 今後の展望として重要なのは基礎研究、 臨床研究ともに可能な研究者の育成であり、 その育成に取り組む予定としている。 また、 全国的に不足しつつある臨床小児科医を高い臨床力を持った上で育成していかなければならないと思われる。

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