2 基 礎 教 育 等

英   語

【過去5年間の実績等】
1. 講座等の特色等
(1) 教育の特色等
 教科としては、 社会に貢献出来る医師を育てるための基礎教育科目の一つとして位置付けられていますので、 その枠の中で出来ることは、 大きく分けて二つあります。 一つは、 英語を手段として使える能力を身につける機会を提供することと、 その手段を使って自己や社会について考える機会を設けることです。 (「自己や社会について考える機会」 は、 専門教科の比重が高くなればなるほど、 大切だと考えます) しかし、 現実には、 英語を主として試験のためだけにやってきた学生の中には、 興味を失なったり、 嫌いになっている人も多くいますから、 様々な工夫が必要です。
 大きな工夫としては、 (1)1年次の 「英語」 で問題提起を、 1〜3年次の 「英会話」 と2年次の 「医学英語」 で実用重視の演習を行なうこと、 (2)可能な限り少人数のクラス編成をすること、 (3)授業では出来る限り英語を使うこと、 の3点です。 (1)については、 1年次の 「英語」 を玉田が担当して、 映像や音楽などを駆使しながら、 アフリカやアメリカの歴史などを切り口に、 既成の史観などへの問題提起をしたり、 エイズなどの時事的、 医学的な問題などを取り上げたりしながら考える機会を設けています。 (2)については、 1年次の 「英語」 ・ 「英会話」、 2年次の 「医学英語」 で1クラス25人編成を確保しています。 少人数を生かして、 玉田とニコライ (平成7、 8年)、 ゲスト (9年以降) は英語での個人面接を適宜実施しており、 キンボールは授業の半分はコンピューター室を使っての授業を試みています (9年以降)。 (3)については、 英語が母国語のキンボールとゲストはその利点を生かしていますし、 玉田も、 授業の大半は英語を使っています。
(2) 研究の特色等
 3者 (キンボール、 玉田、 ニコライ・ゲスト) ともに、 研究内容が授業内容と関わりが深く、 研究の成果を授業に、 授業の成果を研究に反映させているのが特色です。
 キンボールは、 オンライン第2外国語情報の発達、 概念習得の心理言語学的分析、 現代・ポストモダン詩の言語学的研究が研究内容で、 日本人や韓国人との共著や編著も含め8册を上梓してきました。 英語教育、 アメリカ文学の分野での論文発表 (15編)、 学会発表 (19回) を通して成果を発表してきました。 特に英語教育の分野では、 英語を第2外国語として指導している立場の日本人への助言も含めて、 精力的な活動が続いています。 また、 インターネットでの発表も、 継続しています。
 玉田は、 アフリカ文学、 アフリカ系アメリカ文学の作品、 作家研究が主な研究内容で、 2册の英文書 (シリーズの1及び2) を上梓しました。 今までの授業で、 文学、 歴史、 音楽、 政治、 スポーツなど、 様々な問題を取り上げてきましたが、 その成果の1つです。 1册目は、 アフリカとアフリカ系アメリカの歴史の入門書です。 今までの西欧中心の史観を問い直したもので、 学生・一般向けに書かれたこの種の英文による入門書は、 日本では初めてだと思います。
 2册目は、 1册目を基礎に、 1章では新植民地支配という現在の世界の搾取構造を明らかにし、 2章では新植民地支配の状況を描いた2つの文学作品を紹介しました。
 3章では、 今日的な問題としてエイズと新生コンゴ民主共和国と、 自らのジンバブエ滞在を取り上げ、 4章では、 アフリカ系アメリカ人の音楽であるブラックゴスペルを歴史の中で位置付けました。
 ニコライは、 異文化コミュニケーションが研究内容で、 カナダの題材を授業で使った工夫を研究発表しました。
 ゲストは、 会話言語形態と異文化を導入するための教育教材が、 主な研究内容です。 主に、 中、 高、 大学の英語教員で構成される英語教育学会での発表などのほかに、 会話に関する諸問題を論じた英文書を上梓しています。
2. 地域との連携
 キンボール、 ゲストは、 主に、 中、 高、 大学の英語教員による英語教育学会 (Japan Association of Language Teachers) の宮崎支部でも再三講演を行なっており、 中、 高の英語教員の相談にも応じています。
 玉田は、 アジア・アフリカに関する研究会を持ち、 年4回の定期的な研究会と、 研究誌の発行を行なっています。 今の所、 会員は、 宮崎市、 宮崎郡、 都城市、 鹿児島市の大学生や教員、 主婦など、 あわせて20数名の小さな組織です。 本学、 宮崎大、 看護大、 公立大の学生も参加しており、 お互いの交流の場にもなっています。 今年度中に、 ホームページも開設の予定です。
3. 国際交流
 キンボールは、 毎年夏にハーバード大学で研修を行なっており、 韓国の釜山、 イギリスのオックスフォード大学でも会議に参加し、 講演をするなど、 交流を行なっています。
 ゲストも、 フィリピンと台湾での研修を行なっており、 台湾では英語教員の学会に参加し講演も行なっています。
【点検評価】 (取組・成果 (達成度) ・課題・反省・問題点)
 教育面では、 玉田、 ニコライ、 ゲストは授業時間外でも時間を作って個人面接をしたり、 キンボールは授業にコンピューターを導入したりと、 一応の取組や成果があったと思います。
 研究面でも、 著書や原著、 学会発表などで多くの成果をあげたと思います。
 2、 3年次の 「英会話」 が1クラス50人編成のままなので、 出来る限りの少人数化が課題として残っています。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 今の授業形態は、 主に教員からの問題提起、 講義、 演習が主体ですので、 学生ができるだけ主体的に取り組める工夫が必要だと思います。 少人数による自主学習が行なえるような授業形態 (複数の教員によるゼミ形式) などの試み、 「英会話」 の少人数化も視野に入れた必修選択制の導入によって、 学生の興味、 関心の多様性に応じる工夫も必要だと思います。

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