1 医  学  部

(5) 教授方法の工夫・研究
(ア) 教授方法の工夫・研究のための取り組み
【過去5年間の概況】
 従来の講義形式の他、 さまざまな課題を学生に与え、 学生がグループであるいは個人で自ら調べ、 発表し、 討論するセミナー形式もいくつかの専門科目で行われている (生化学、 生理学、 微生物学、 衛生学など)。 またインターネットを利用した取り組みもなされ、 組織学実習用の教材をWWWサーバーに立ち上げ、 学生の利用に供している (解剖学など)。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 授業科目の特性にもよるが、 セミナー形式の授業は学生の自主的な勉学態度を養い、 一定の成果が得られている。

【今後の改善方策, 将来構想, 展望等】
 従来の基本的学問体系を学生に教育しながら、 セミナー形式、 研究室配属、 統合授業など、 それぞれの長所を生かす形でハイブリッド型の授業形態を構築していく必要がある。

(イ) ファカルティ・ディベロップメント (FD)
【過去5年間の概況】
 平成11年度に第1回宮崎医科大学FDワークショップを開催した。 これは、 医学教育の改善・改革等について、 先進的に取り組みをしている日本医科大学岩崎榮常任理事に 「臨床医学教育改善のためのFDはいかにあるべきか」 と題しての講演を依頼するとともに、 講演後、 「学習成績評価をめぐって」 というテーマについて、 演者、 本学教官及び学生2名の計7名からなるシンポジストによるシンポジウムを行った。
平成12年度は、 12月19日 (火) 岐阜大学医学部伊藤和夫教授に 「チュートリアル教育について」 と題し、 学内の臨床講義室において講演及びシンポジウムを行うことにしている。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 本学のFDワークショップは、 単に教育をする側の教官のみならず、 教育を受ける側の学生も共に考え、 ディスカッションする必要があるとの観点から、 学生も参加できるように17時から開催した。 このことから参加者は、 教官93名、 学生166名、 看護婦や事務官20名の参加があった。
なお、 診療・出張等により、 この会に参加できなかった教官へワークショップ内容を知ってもらうため、 更にはこのワークショップが一過性とならないように講演、 シンポジウム、 それから実施状況についてアンケート調査を行い、 それぞれを取りまとめた上、 冊子にして配布するとともに、 学内の教官、 更には全国の医学系大学にも併せて配布している。

【今後の改善方策、 将来構想、 展望等】
 平成11年度に実施したFDワークショップは、 時間的な制約もあり、 教官等の参加数及び参加者相互の意見交換は、 必ずしも十分とは言いがたいものであった。
21世紀に期待される優れた臨床能力と患者に共感する心を兼ね備えた良医を養成するためには、 さらに本学の医学教育を見直ししていかなくてはならず、 医学教育に責任を持つ教官が参加できるようにするため、 開催回数を増やすと共に、 短時間のワークショップではなく、 集中的に行えるよう1泊2日と規模を拡大するなど、 内容を充実したものにすることが望まれる。

(ウ) 学生による授業評価
【過去5年間の概況】
 平成6年12月、 本学同窓会が大学評価委員会 (学外の10名の委員によりなる) を設置し、 授業評価の方法等についてのアンケート調査を行っている。内容は、 平成6年度の各講義と実習について1. 良かった、 2. 普通、 3. 悪かった、 の3段階で評価し、 それぞれ意見を記す形式で実施している。 この時の授業評価結果については、 同窓会誌に掲載されている。

【点検・評価】
 この授業評価は同窓会が実施したものであり、 その結果を活用することについて検討なされず、 現実的に授業等に反映されてはいない。

【今後の改善方策, 将来構想, 展望等】
 平成11年3月開催された学長、 副学長と学生会役員との懇談会において、 教育方法の改善に役立てるため、 大学として学生による授業評価を実施することが合意をされており、 現在、 具体的なアンケート項目、 フィードバック等について教務・厚生委員会で検討中である。

(エ) 学生の学習状況
【過去5年間の概況】
 教育指導の在り方・履修指導・履修状況の表1 (40頁) で示すように毎年60〜70人前後の留年者が生じており、 留年することなく卒業していく学生は約6割前後となっている。 受験勉強一色の高校までの勉学態度から脱却できない 「指示待ち学生」 が留年していると思われる。 一方では自ら問題意識を持ち、 自主的に研究室での実験や病院実習に取り組む学生も出てきている。 共著ではあるが国際誌に掲載された論文を持って卒業した学生もいる。 また医学情報学の開講によりインターネットを用いて情報の入手、 並びに発信も大部分の学生ができるようになっており、 医学の勉強にも利用している。

【点検・評価】 (取組・成果・課題・反省・問題点)
 医学生としての自覚、 医師という専門職を目指しているという意識が十分でない学生が少なからず見受けられる。 また学習のための図書をはじめとする視聴覚教材の整備は必ずしも十分とは言えない。

【今後の改善方策, 将来構想, 展望等】
 カリキュラムの抜本的な見直し、 自学自習のための図書及び各種視聴覚教材 (インターネットを利用したCD−ROM教材) の飛躍的な充実を図る必要がある。

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