【過去5年間の概況】 保健管理センターは、昭和61年4月本学学生の健康の保持増進を図るとともに保健管理に関する専門業務を行う施設として設置され、センター所長(併任)と講師(カウンセラー)及び保健婦の2名の専任職員に、本学附属病院の非常勤医師9名によって管理・運営されている。また、センターの組織及び管理・運営、更に学生の保健管理運営に関する重要事項等について審議する機関として、センター所長を委員長として、センター専任教官及び教授等により構成される「保健管理センター運営委員会」が設置され、センターの諸活動に対する支援及び学生の保健管理に関する指導助言に努めている。 センターの業務としては、学生の身体的・精神面の相談などの健康相談、学校保健法に基づく定期的健康診断、突発的な事故・疾病等に対しての応急手当、休養室での看護、救急薬品・材料等の支給、医師国家試験志願・奨学金申請及び研修医応募等に際しての健康診断証明書の発行がある。年間の主要業務は、4月の入学式翌日から1年生を対象にした新入生合宿研修における保健指導・健康調査、5月の全学生を対象にした定期健康診断、更に大学院生を対象にしたB型肝炎検査及びワクチン接種、1年生を対象にした健康調査に基づく個別面談・B型肝炎検査、1月の6年生を対象にした医師国家試験に伴う健康診断である。 広報活動としては、学生及び教職員への利便を図ることを目的として、センター施設の役割や案内に関する「保健管理センターしおり」を毎年発行している。また、平成元年4月健康情報シリーズとして創刊して以来、その時節に起こった疾病・医療などに関する事柄、学生の健康に関して行ったアンケートの結果及び先輩医師の活躍や先輩医師から学生へのメッセージなどを掲載した「Hygeia」を年3回発行し、学生への健康に対する啓蒙と情報提供に努めている。また、5年毎にセンターの業務報告を「保健管理センター年報」(第2号「平成4年〜8年」)として取りまとめ、学内・学外の関係者及び関係機関に配布している。 特に、平成8年度は、センター開設10年目の節目にあたることから、健康・保健キャンペーンとして、東京都立駒込病院 根岸先生を講師に招き「エイズ講演会」を開催すると同時に学生にとって、みじかな問題となっている喫煙・食生活・AIDS等に関するアンケート、学生から「見た・感じた」保健管理センターの運営や在り方などに関するアンケートを全学生661名に実施(回収率97.6%)し、その結果を取りまとめ、公表を行っている。また、平成9年度は、文部省からの厚生補導特別企画として、第31回全国学生相談研究会議を本学保健管理センターが当番校として開催し、全国の国公私立大学の学生相談を担当する第一線のカウンセラーの参加により、学生相談に関するシンポジウム、事例研究を行った。 |
【点検・評価】(取組・成果・課題・反省・問題点) 1)身体健康面 保健管理センターは、その目的の第一として、学生の身体面への健康増進の為の援助業務と学生自身が自分の健康は自分で保つという自己管理の意識を高める健康教育の役割を担うもので、この目的達成のために、以下のような様々な取り組みを行っている。
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2)精神健康面 センター専任のカウンセラーが、入学時に、MAS不安検査、CMI健康調査、Y−G性格検査の結果を基に、1年生全員に対する個人面接を行い心理面への援助を行っている。また、原級学生に対しては、学長、副学長(教育等担当)及び教務厚生委員会委員(教授)とともに、専任カウンセラーも加わり、就学意欲の向上、進路変更等のアドバイスを行っている。 日常業務として、心理面はもとより学生生活全般にわたってカウンセラーが対応しているが、精神疾患が疑われる学生に対しては、センター所長と連絡を取りながら、精神科の学校医若しくは学外の医療機関と連携しつつ対応している。 |
3)その他 毎年発行している「保健管理センターしおり」は、センタ−の業務内容や相談日、センターのスタッフ、年度毎に交代する学校医の紹介など、分かり易く、利用しやすい内容で作成している。健康情報シリーズとして年3回発行している「Hygeia」は、将来医師となる学生に対し、自分の健康状態をチェックし、感染の予防についての認識を高めることを一助としている。また5年毎、発刊している「保健管理センター年報」は、単にセンターの業務内容を網羅するのみならず、今後の課題や対応の指標としても役立たせている。特に、平成8年度に学生全員に対して実施した保健管理センターに関するアンケートは、特記すべき点であり、センター及び業務に関わる専任職員が自らの活動状況について、学生からどのように評価されているのかを知るとともに、この結果を踏まえ、今後の業務遂行に当たっての指標としている。 保健管理センターの活動実績が上がることは、本来的には望ましいことではないが、センタースタッフが学生の視点に立って、学生の身体・精神的面からサポートとし、学生の健康増進についてあらゆる面から支援業務を行っていることは、非常に評価できるものである。 |
【今後の改善方策、将来構想、展望等】 本学のセンターは、他の国立医科大学と比較してそのスペースも極めて狭く、限られたスタッフの中で、毎年学外からの来所も含めて述べ3,000人以上が相談に訪れている。これは教務部学生課の職員の強力なバックアップがあったからこそ十分に機能できているのであり、今後も一体となって、学生の就学援助へ向けて連携しなければならない。また、増加の傾向にある学生相談、特に、メンタルヘルス面について、センター専任のカウンセラ−及び保健婦だけでもって対応するには限界があるため、今後は、本学の教職員の人的資源を十分に生かしながら、本学独自の制度としてあるグループ担当教官とのより一層の連携を図りながら対応をしたい。 学内においては、学生支援のためのネットワークと年々複雑化する学生の抱える問題に対して、時に応じて学外の専門家との連携も必要となってくると思われる。特に、近年大学におけるセクハラ問題が各地で浮上する中で、センターの果たす役割も微妙なものがあり、より慎重な対応が要求される。 本学学生の健康の保持増進を図るとともに保健管理に関する専門業務を行うセンターとしては十分に機能し、役割を果たしていると考えられるが、まだまだ不十分な点も多くあるものと思われ日々学生とかかわる中で、学生のニーズに十分応えられるセンターを目指したい。 |