(1) 附属病院
【過去5年間の概況】
医学部附属病院は、昭和52年4月に設置され、同年10月に開院し、診療を開始した。
開院以来、順次に整備、拡充を図り、現在は以下のように診療科17、中央診療施設4、特殊診療施設7、薬剤部及び看護部からなっている。このうち周産母子センターは平成8年4月、病理部は平成10年4月に設置された。また、医学部医学科の講座ではあるが、救急部と一体となって病院の救急医療に当たる救急医学講座が平成8年4月に設置された。なお、平成11年度に概算要求していた光学医療診療部は、平成12年4月設置されることとなった。
診療科、中央診療施設等における教育研究の状況については、各診療科、中央診療施設等に任せ、ここでは附属病院全体の教育研究組織について記述する。
診療科(17科)
第一内科 |
第二内科 |
第三内科 |
精神科 |
小児科 |
第一外科 |
第二外科 |
整形外科 |
皮膚科 |
泌尿器科 |
眼科 |
耳鼻咽喉科 |
産科婦人科 |
放射線科 |
麻酔科 |
脳神経外科 |
歯科口腔外科 |
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中央診療施設(4施設)
特殊診療施設(7施設)
輸血部 |
救急部 |
集中治療部 |
周産母子センター |
医療情報部 |
病理部 |
リハビリテーション部(学内措置) |
薬剤部
看護部
大学附属病院の役割の一つに医師等の育成がある。本院では、医学部学生の卒前臨床教育は元より、医師の卒後研修として医員(研修医)の受け入れを積極的に行うとともに、副病院長を委員長とした卒後研修委員会において受け入れ体制の整備、臨床研修カリキュラムの改善を図っている。平成11年度からは、研修形態を従来の所属診療科において研修するストレート方式から、所属診療科以外の2診療科を1か所3か月又は6か月間研修するローテイト方式に改めた。
また、医員は診療に欠かせないスタッフであり、各専門領域の診療に従事するとともに、各所属学会の認定医、指導医の資格取得のため研鑽を積んでいる。
さらに、医師及び歯科医師の生涯学習に資し、地域の診療所、病院等との連携を促進することを目的として、地域の開業医や病院勤務医を研修登録医として、看護婦、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師等を養成する学校及び養成所の学生、生徒等を受託実習生として、また、免許取得後の看護婦、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師などを病院研修生として受け入れ教育に当たっている。(過去5年間における受け入れ数は表−1〜5を参照)
附属病院の役割の二つ目には、高度先進医療の開発・研究とその提供がある。本院は平成6年10月に特定機能病院としての承認を受け、医療法施行規則第9条の16の規定により、高度の医療を提供すること、高度の医療技術の開発及び評価を行うこと、高度の医療に関する臨床研修を適切に行うことが義務付けられている。各診療科、中央診療施設等においては、地域の病院・診療所では提供できない治療技術を用い、患者の診療に当たるとともに、日々新しい治療法の開発に努めている。現在、高度先進医療として厚生省の承認を受けている医療は、造血器腫瘍のDNA診断(PCR法・LCR法)(平成7年10月1日承認)、固形腫瘍のDNA診断(平成9年11月1日承認)、人工中耳(平成9年11月1日承認)の3件である。
【点検・評価と将来の改善・改革に向けた方策】
厚生省では、卒後臨床研修について必修化する方向で検討中であり、その際には総合診療方式で研修することとされている。本院では平成11年度から従来のストレート方式から複数の診療科を研修するローテイト方式に改めたばかりであるが、早めに問題点の分析を行い、総合診療方式の導入を検討する必要がある。
また、前述のとおり本院には、高度な医療・技術の提供・開発とそれを実践できる人材の育成とともに、地域医療の向上、地域住民への医療提供の責務があり、かかる視点に立った密接な地域医療連携の推進並びに病院の整備・拡大が必要である。なお、高度先進医療として承認を得ている医療の過去3年間の実施実績を見ると、造血器腫瘍のDNA診断3件、人工内耳2件と非常に少ないことから、新しい高度先進医療の開発が求められる。
本院の整備計画として、複数の疾患を有する患者への総合的医療の提供と地域医療を行う「総合医療診療部」、増加する腎疾患等の患者の医療を行う「血液浄化療法部」、患者の心身機能の向上と維持を目的とし入院から退院後までの総合的なリハビリテーションを行う「リハビリテーション部」などの中央診療施設等の設置計画、さらにはナンバー内科・外科を中心とした臓器別診療体制への見直し、新外来棟の建築、病棟改修等の病院再整備計画を策定中である。 |