3 附属図書館

(1) 附属図書館の機構・組織
【過去5年間の概況】
 附属図書館の管理・運営組織は、平成7年度に高度な電子情報化に対応するために係の名称変更も含め事務組織の見直しを図り、現在に至っている。改変後の組織は下記のとおりである。

組織図

【点検・評価】
 附属図書館は本学の教育・研究活動を支える重要な附属施設として設置されている。限られた予算・人員で附属図書館に期待された機能を果たすために、附属図書館の機構・組織も常に見直しを行う必要がある。学内の他の機構と直接的に連携しにくい管理機構、学内共通経費を主な財源とする脆弱な予算構造、定員削減による人員不足、電子図書館化に対応するための職員養成の機会の不足等が問題としてある。

【今後の改善方策、将来構想、展望等】
 電子図書館機能の強化・充実を図るための検討委員会の設置及び事務組織の改編も含めて検討すべきと思われる。図書館機能の整備方針等の検討に加え、全学的にコンセンサスを得ておくことも必要である。

(2) 附属図書館長の役割
【過去5年間の概況】
 附属図書館長(以下、館長)は、附属図書館長候補者選考基準により、「本学教授の中から学長が教授会の意見を聴いたうえで選考し、館長の任期は、2年とし、再任を妨げない」となっている。
 なお、附属図書館長候補者選考に関する申合せによると「教授会の意見を聴く」とは、教授会において選挙により選出された上位1名を推薦することをいう。
 館長は、図書館の管理・運営全般に亘って責任を持ち、図書委員会の委員長を務め、さらに将来計画審議会等の一員として図書館を代表する重要な役職となっている。館長は、図書館の目的である「図書館資料を収集管理し、教職員、学生の教育・研究及び学修に資すること」のための不断の改善・改革、及び新たなサービスの創出などを指導していく役割を担っている。そのためには、全学的な見地から管理・運営を行っていくことが求められる。

【点検・評価】
 館長は、図書館利用者のニーズの把握を行い、利用者サービスの向上に努める必要がある。平成7年度、平成10年度の学生会の要望に対し、複写機の増設、購入希望図書・雑誌への対応、24時間利用対象者の拡大などに応えてきた。なお、個別の要求をくみ取る方法として図書館の中に意見箱を設置しているが、希望図書購入の要求以外はないのが現状である。さらに、積極的な方策が望まれる。

【今後の改善方策、将来構想、展望等】
 館長は、図書館サービス全体を常に把握・改善するために、利用者ニーズを調査・研究する必要があるので、意見箱あるいは電子メール等による利用者の声以外に積極的なアンケート調査の実施あるいは館長に意見を具申する利用者委員会の設置など、利用者が図書館に何を求めているのかを把握する方策を講じたい。

(3) 図書館の運営組織
【過去5年間の概況】
 附属図書館を運営していく組織としては図書委員会があり、宮崎医科大学図書委員会規程において次のように定めている。
 委員については、(1)附属図書館長、(2)一般教育科目等担当教授1人、(3)専門教育科目担当教授4人(基礎医学2人、臨床医学2人)の計6人により構成されている。また、必要がある場合は、委員以外の本学職員に出席を求めることとしており、委員会の審議の内容によっては事務的な判断を求められることがあるため、係長以上の図書館職員は陪席という形で出席している。委員の任期は2年として再任を妨げない。図書委員会は、館長の諮問に応じて、管理運営を円滑に行い、かつ新たな諸問題について適切に対応するために全学的に審議し、答申を行うために設置されている。委員会は随時開催されることになっており、過去5年間の開催状況と主な審議事項は次のとおりである。
平成7年度(14回)
  ・自動入退館管理システムの運用等について
  ・自己点検・評価について
  ・時間外開館の延長について
  ・図書の不用決定に関する事務処理要項について
  ・不用図書の廃棄について
  ・開学20周年記念コーナーの設置について
  ・図書館増築の基本設計について
平成8年度(7回)
  ・学生の要望について
  ・CD−ROMサーバーシステムの導入について
  ・留学生用図書及び視聴覚資料整備について
  ・図書館増築要求について
平成9年度(12回)
  ・自然科学系図書資料の選定について
  ・図書課組織の見直しについて
  ・図書館備付外国雑誌の見直しについて
  ・雑誌等の廃棄について
  ・電動式集密書架の設置要求について
  ・図書館増築要求について
  ・留学生用図書・視聴覚資料及びパソコンの整備について
平成10年度(11回)
  ・次期図書館システムの仕様策定について
  ・自然科学系図書資料収書計画について
  ・外国雑誌の見直しについて
  ・学生大会の要望について
  ・電動式集密書架の設置要求について
  ・図書館増築要求について
平成11年度(5回)
  ・留学生用AVシステムの整備について
  ・自然科学系図書資料収書計画について
  ・電動式集密書架の設置について
  ・図書館増築及び改修について
  ・研究業績目録のデータベース化について
  ・文献複写依頼・資料購入依頼の電子化について
 施設設備面では平成7年に24時間無人開館システムを導入し、大学院生・教職員等の時間外利用が可能となり、平成11年にはポリクリ開始以降の4年生以上にも拡大を図った。平成10年にはCD−ROMサーバーを導入し、医学中央雑誌CD−ROMをオンラインで利用可能とした。平成11年6月には最大の懸案事項である図書館増築・改修計画を情報発信基地としての共通性を備えた情報処理センターとの複合施設とした将来構想をまとめた。 
 図書館資料に関しては、特に外国雑誌の値上げ及び円安による価格高騰に伴い平成9年度に引き続き平成10年度も見直しを実施、重複雑誌や利用頻度の低い雑誌の購入を中止した。

【点検・評価】
 学内LANの整備及び図書館システムのC/S方式への移行に伴い図書館ホームページを開設し、利用案内、OPAC、二次情報データベース等が研究室等から利用可能となった。しかしながら、「電子図書館への対応」あるいは「電子図書館的機能の充実」を図るにはハード・ソフトともまだまだ不充分な状況である。加えて、情報検索・留学生コーナー等、新たなスペースの確保、増え続ける図書館資料による書庫の狭隘化解消、経年により老朽化した図書館諸設備の更新等、重要な課題が山積している。

【今後の改善方策、将来構想、展望等】
 時代に対応した図書館サービスを基本理念として、具体的に電子化に対応していくための情報基盤整備を行う必要がある。そのために、書庫狭隘化に伴う配架スペースの不足解消も含め、利用者サービスを基本とした図書館の増築・改修計画の実現に積極的に取り組みたい。
 これまで、図書資料の廃棄基準の制定を行い、廃棄を実施してきた。今後も、常に見直しを図りながら、図書資料の整備・充実に努めることとしている。

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