宮崎大学医学部解剖学講座

   神経生物学分野

 

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 我々の研究室では神経系の仕組み、特に「痛み」の感覚、「痛覚」について研究しています。痛みは、刺すような痛み、ヒリヒリする痛み、ジンジンする痛み、ズキズキする痛み、弱い痛み、灼けるような痛み、疼痛、激痛、など様々な言葉で表現されるように、誰でも日常的に経験することができる身近な感覚の1つです。病院を訪れる人の多くが、痛みがきっかけとなっており、ある意味、痛みを取り除くことは医学の目標の1つであると言えるかもしれません。

 痛みの研究を困難にしているのは「痛みの感覚は極めて個人的であり、それ故にその強さを比較することも難しい」ということです。人によって痛みの感じ方は様々です。さらに、同じ強さの刺激でもいつも同じ強さの痛みとして認識されているとは限りません。また、痛みとして認識される刺激(侵害刺激)も機械刺激、温度刺激、化学刺激等、そのモダリティーは多岐にわたり、異なる刺激による痛みの強さを定量的に比較するのは非常に困難です。

 IASP: International Association for the Study of Pain(国際疼痛学会)は 1994 年に痛みを「実質的または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはこのような損傷を表わす言葉を使って述べられる不快な感覚・情動体験である」と定義しました。痛みは感覚であると同時に情動でもあるわけです。この定義から痛みを次の3つの段階に分けることができます。1.実質的な組織の損傷による痛み(急性疼痛)。2.損傷が治癒した後も持続する痛み(慢性疼痛)。3. 実質的な損傷がないにもかかわらず引き起こされる痛み(心因性疼痛)。痛みを研究するには、それぞれの段階の痛みに対して、感覚的側面と、情動的側面それぞれに関与する神経系の仕組みと機能を明らかににしていく必要があります。特に、慢性疼痛や心因性疼痛は有効な治療法や治療薬が無いのが現状で、疼痛に苦しむ人々のQOL向上のためにも、有効な鎮痛薬の開発が必要であり、その為には種々の疼痛に関する基礎的な研究が必要であると思われます。

 当研究室では、「痛みの情報伝達に関与する神経伝達物質」、「痛み刺激に応答する神経細胞の細胞内情報伝達系」、「慢性疼痛(特に神経因性疼痛)を引き起こす可塑的な神経の変化」に焦点を当て、研究を進めています。

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宮崎大学医学部解剖学講座神経生物学分野

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