更新日:2017.01.24
リハビリテーション科特殊外来では、脳卒中の後遺症などの痙縮に対してボツリヌス療法を行っております。
下記のような事でお困りの方はご相談ください。
脳卒中の後遺症、頭部外傷、脊椎損傷などが原因で、運動障害の一つに痙縮という症状があります。痙縮とは筋肉が緊張しすぎて、手足が動かしにくい、勝手に動いてしまう状態のことです。痙縮では、手指が握ったままとなり開こうとしても開きにくい、肘が曲がる、足先が足の裏側のほうに曲がってしまうなどの症状がみられます。
痙縮による姿勢異常が長く続くと、筋肉が固まって関節の運動が制限され(これを拘縮といいます)、日常生活に支障が生じてしまいます。また、痙縮がリハビリテーションの障害となることもあるので、痙縮に対する治療が必要となります。
ボツリヌス療法とは、ボツリヌス菌が作り出す天然のたんぱく質(ボツリヌストキシン)を成分とする薬を筋肉内に注射する治療法です。ボツリヌストキシンには、筋肉を緊張させている神経の働きを抑える作用があります。この効果を利用して、ボツリヌス毒素を成分とする「ボトックス(R)」という医薬品を、上肢・下肢・首・肩・背中などの筋肉に直接注射すると、関節が動きやすくなり、異常な姿勢や運動機能を改善させることができます。見た目に姿勢や運動機能が変わらなくても、筋緊張による痛みが改善したり、まとまった睡眠がとれるようになったり、呼吸が楽になったり、嚥下が上手になったり、介護が楽になったりと、いろいろな効果が得られることがあります。
ボツリヌス療法の効果
次のような効果が期待できます。
他にも
・関節が変形するのを予防します。
・痛みを和らげる効果が期待できます。
ボツリヌス療法を行った後、リハビリテーションを組み合わせて継続して行うことで更に効果が期待されます。
目標とする筋肉の数カ所に細い針で筋肉注射をします。1回の治療は約30~60分くらいです。
ボツリヌス療法の効果は、注射直後から数日かけながらゆっくりあらわれます。通常3~4ヵ月間持続します。その後、数週間で効果は徐々に消えてしまうので、必要に応じて繰り返し注射を受けることになります。ただし、効果の持続期間には個人差があるので、医師と症状を相談しながら、治療計画を立てていきます。
ボツリヌス療法を受けた後に副作用として次のような症状があらわれることがあります。これらの症状は多くが一時的なものですが、症状があらわれた場合には医師に相談してください。
・注射部位がはれる
・赤くなる
・痛みを感じる
・体がだるくなる
当院で行う上肢・下肢痙縮の治療は保険が適応されます。1割~3割負担で治療が受けられます。
注射を行う部位や、範囲によって費用が異なります。詳しくは、当院の計算窓口へご相談ください。
ボツリヌス療法を希望される場合は、事前に総合予約室0985-85-9715(予約専用)でFAX予約をして下さい。
予約の際には「宮崎大学医学部附属病院初診予約申込書」の記載、提出が必要です。
外来担当医師が患者さんの症状を診察した上で、ボツリヌス療法の適応を決定します。
*初診当日にはボトックス治療はできませんのであらかじめご了承ください。