お知らせ

宮崎大学産婦人科 医局員の声
宮崎大学産婦人科 医局員に1日密着しました

ごあいさつ

桂木教授

2021年2月より宮崎大学産婦人科の主任教授となりました桂木真司と申します。周産期専門医、婦人科専門医、腫瘍専門医、高度生殖医療専門医の育成が必要で、大学で人材を育て、地域医療にも安定した人材を派遣する事が必要であると考えております。

宮崎県は周産期死亡率は令和5年2.8で全国4位とトップクラスに成績が良い県ですが、妊産婦死亡率は2010‐2017年の平均が7.5人/10万人と全国で最も高い県となっています。2010年以降産科危機的出血による妊産婦死亡は2019年までは減少傾向にあり、妊産婦の高齢化を反映し脳卒中は継続して第2位であり、心疾患、肺血栓塞栓症を合わせて循環関連の妊産婦死亡が全体の1/3を占めこれらは比率として減っていない事が特徴です。2020年から2022年では妊産婦死亡で最も多かったのはうつ病等による自殺であり、さらには2022年の妊産婦による自殺数は65名と実際の報告数よりかなり多い事も自殺白書より上がってきております。合併症妊産婦の管理は他診療科との医療連携が最も重要であり、大学病院を中心に医療連携を推進し地域にも優れた産婦人科医師を派遣し、宮崎県全体で一丸となって妊産婦死亡減少に取り組み、「安全に分娩ができる宮崎県」と言われる様に力を尽くしていきたいと思います。

医局員との日々の交わりの中で重要としている事は「朝の挨拶」です。「おはよう!」と元気に声をかける当たり前の事を実行し明るい雰囲気の中で楽しく診療する事を心がけています。宮崎県の最後の砦と言われる宮崎大学ですが、その明るさは産婦人科からもどんどん出して行きたいと考えています。医学部学生への日々の教育の中で気を付けている事は、学生のニーズを考え、忙しい医局員との間に入り、学生が喜んで学習できる内容を提供する事です。例えば婦人科診療においては婦人科手術にいつも入り、自分が医学部生時代には理解できていなかった、「これが円靭帯、これが卵巣固有靭帯」などを悪性腫瘍、妊孕性温存、月経不順などの主訴とも照らし合わせ、患者様を目の前にした「記憶に残る産婦人科臨床実習」となるようにつとめています。

研究においては令和5年度において5名の大学院生、1名の国費留学生、1名の研究室研究員と共に下記テーマで研究を進めています。周産期における低酸素虚血性脳症、胎児心臓病スクリーニング、妊娠中の悪性腫瘍に関する研究、帝王切開中の循環血液量の動態、妊娠中の母体ビタミンK欠乏症の研究を行っています。また多施設共同研究として松澤聡史先生を中心に、福岡こども病院、広島市民病院、宮崎県内の産婦人科2次施設と連携して双胎間輸血症候群の発症予知バイオマーカーに関する研究を行っています。

2024年4月に働き方改革の実施にあたり、どのように労働時間を短縮し、また医師・助産師のタスク・シフトシェアを作り上げていくかが問われる時代になりました。チーム医療を基本として明るく、楽しく産婦人科診療が行われる環境作りの推進をこれからも発信し続けて行きたいと思います。

宮崎大学医学部附属病院産婦人科 教授 桂木 真司

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