心臓病とは?
「心臓病」は、心臓の構造や機能に異常がある病気の総称で、虚血性心疾患、心臓弁膜症、不整脈、心筋症、先天性心疾患などが含まれます。これらのいずれの疾患も進行すると、「心不全」に至ります。 「心不全」が悪化すると、入退院を繰り返すようになり、最終的には身体機能が低下し、寿命にも影響を与える可能性があります。現在「心臓病」は、がん、脳卒中と並ぶ日本人の主要な死因のひとつです。
心臓病の種類
心臓病には、様々な種類があります。以下に主なものを記載しています。
虚血性心疾患 (狭心症・心筋梗塞等)
心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなり、心臓の一部が栄養不足になる病気の総称です。
心臓弁膜症
心臓にある弁が、本来の機能を果たせない状態の総称で、大きく2つのタイプに分類されます。弁の開きが悪くなり、血液の流れが妨げられる「狭窄症」と弁の閉じ方が不完全なために、血流が逆流してしまう「閉鎖不全(逆流)症」です。いずれも心臓の負担が増えるという意味で心不全の原因となります。
不整脈
心臓の拍動のリズムが不規則であったり、極端に頻度が高かったり少なかったりする状態のことを指します。心臓の拍動する頻度が少ない場合(心拍数おおよそ50回/分以下)を徐脈、速くなる場合(おおよそ100回/分以上)を頻脈と呼びます。
心筋症
心臓の筋肉の異常を呈する疾患の総称で、進行すると心臓から血液を押し出して全身に供給するポンプ機能が低下します。
先天性心疾患
生まれつき持っている心臓または大血管の構造異常を示す疾患の総称です。
心臓病の症状
心臓病の症状は、病気の種類によって異なりますが、胸の痛み(圧迫感)、動悸(胸がドキドキする)、めまい・失神、手足のむくみ・冷感、夜間の咳、息切れや呼吸困難、倦怠感などが含まれます。心臓病は早期発見が重要です。これらの症状が出現した際は、すぐに医師に相談しましょう。
心不全について
心不全とは、『心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気』と定義されます。
心臓のポンプ機能の低下により、肺や足にうっ血を生じたり、全身へ血液が送り出せなくなるため、息切れ、むくみ、体重増加、倦怠感、尿量減少等の症状が出現することがあります。
心不全は悪化と回復を繰り返し、徐々に進行していきます(右図)。
血液検査・心電図・胸部レントゲン・心臓超音波検査・心臓カテーテル検査等を行い、心不全の原因と重症度を調べます。
心不全の治療には、内服治療、医療機器(デバイス)による治療、カテーテル治療、手術のほかに、患者さん自身の生活の在り方(水分・塩分制限、血圧管理、体重管理、禁煙等)が非常に重要です。

心臓病の予防
心臓病の多くは、高血圧、糖尿病、脂質異常、肥満等の生活習慣病が関連しているため、健康的な生活習慣を維持することが非常に重要です。生活習慣を見直し、予防に努めることで、心臓病のリスクを低減することができます。
血圧・脈拍・体重などのセルフチエックも非常に重要であり、手帳等に記録することで、日々の変化をみることが出来ます。また、定期健診を受けることは、疾病の早期発見につながります。
心臓病の治療
心臓病の治療は、疾患の種類や重症度によって異なります。主な治療には、下記のようなものが挙げられます。
- 生活習慣の改善
- 薬物治療
- カテーテル治療
- 手術治療
- デバイス治療
心臓病のリハビリ
心臓病のリハビリテーションでは、体力の回復を促し、日常生活や社会復帰をスムーズに行えるよう支援します。再発や再入院を防ぐためのプログラムを個々に設定し、運動療法や教育(病気の理解)、生活指導、カウンセリングを通じて多職種による総合的なサポートを提供します。