健康情報シリーズ

Hygeia 

                                       (Hygeiaとはギリシヤ神話の健康の女神)
 

 相談室より
 

uraguti

医学部 保健管理センター分室 入り口(裏口)
第45号
 宮崎大学 医学部 保健管理センター分室  2004.2

相談室より

  

宮崎大学医学部保健管理センター分室
宮野 秀市
    
カウンセリングの利用について

 保健管理センター分室では,カウンセリングも行っています.学生生活を過ごす中で,対人関係,学業,将来の進路などに関して様々な悩みが発生するかもしれません.そんなときは気軽にカウンセリングを利用してください.前任の藤原先生から引き継ぎ,私が保健管理センター分室のカウンセリングを担当してから2年が経とうとしていますが,どうやら,本学医学部学生のカウンセリングの利用は少ないように感じられます.それが学生の皆さんが精神的に健康に過ごしている証拠なら良いのですが,皆さんはカウンセリングを受けることを恥ずかしいこと,情けないことだと考えてはいないでしょうか?
 一般的に,カウンセリングを受けていること,あるいは,精神科や神経科に通院していることを人に知られたくない,と考える人は多いと思います.いわゆる心の問題で病院に通うことによって,周りの人たちから自分が「おかしい人だ」とか「精神的に弱い人間だ」などと思われるのではないかと心配するようです.特に本学の学生は医師や看護師といった医療従事者を目指す人たちですので,そういった傾向が強いのかもしれません.実際に,「カウンセリングを受けていることがばれてしまうと,医療従事者として不適格者と判断されてしまうのでないか」と心配する学生もいました.
 しかしながら,例えば,気持ちが落ち込むことは誰にでもあることですし,精神的な疾患にかかることも誰にでも起こりうることなのです.一人で問題を抱え込むよりは,むしろ,必要があると感じたら,積極的にカウンセリングを受けたり,精神科を受診するなどの適切な行動を取ることこそが医学部の学生に求められることではないでしょうか?
 カウンセリングは,保健管理センター分室の中の「相談室」で行っています.保健管理センター分室は独立した建物ではなく,校舎(管理棟3階)の中にあり,また,「相談室」はセンターの中の一番奥にあります.そのため,全く誰にも見られずにカウンセリングを受けたい,と希望する方にとっては多少利用しにくく,おそらく,このことがカウンセリングを利用する学生が少ない原因の一つになっているかもしれません.少しでも人に見られたくないという方は,センターの裏口(上の画像)から入ると良いと思います.ここから入りますと,正面が私のいる部屋(講師室,ドアは開けてあります)になります(実際,カウンセリングを継続的に受ける方は,この裏口から出入りすることが多いようです).学内での講義や学外での活動のため私が保健管理センター分室にいないこともありますが,それ以外の時間でしたら,基本的にいつでもカウンセリングに対応します.何か相談したいことがありましたら,お気軽にいらしてください.もちろん,相談内容は十分に守られますのでご安心ください.
 

カウンセリングについて

 誰かに話を聞いてもらうだけで,気持ちがすっきりし,とりあえずは問題が解決されることもあります.しかしながら,いつもそうとは限りません.カウンセラーに話を聞いてもらえば,問題が解決され,悩みが解消されると考えているとしたら,それは必ずしも正しいとは言えません.また,カウンセラーの話を聞きさえすれば問題が解決する,心の病気が治る,カウンセラーが自分を治してくれると考えているとしたら,それも間違いです.カウンセリングによって何かが良い方向に変化するとするなら,それはクライエント(相談に来る人)自身がそう変化させていることが多いのです.カウンセラーは,クライエントが望むように変化することのせいぜいお手伝いが出来る程度なのです.つまり,問題を解決するのは自分自身であり,時には,自分を変えようとする自身の努力が必要になることもあるということです.
 本学の学生に限らず,カウンセリングを求める人の中には,「生まれつきこういう性格だから,こう育てられたから,私は変わりません(あなたはカウンセラーなのだから,あなたが何とかして下さい).」と言う人がいます.しかしながら,その人の考え方や行動の仕方に問題の原因がある場合,それを変えることによって問題が解決することが多いのです.その為には,カウンセラーの援助はもちろんですが,クライエントが自分自身で努力することも必要になります.
 繰り返しますが,カウンセラーに出来ることは問題解決のための援助です.そのために,クライエントの話を聞いたり,時にはちょっとしたアドバイスをすることもあるかもしれませんが,カウンセラーがクライエントを治すわけではありません.あくまで問題を解決するのは自分自身なのです.カウンセリングを利用する方は,このことを心に留めておいてください.


Home